- 慢性腎臓病(CKD)とは、chronic kidney diseaseの頭文字をとったもので、慢性に経過するすべての腎臓病を指します。尿や血液、腹部超音波やCTなど病院や健康診断で行う検査で腎臓の機能に異常が見られ、その状態が3カ月以上続いている場合に診断される病気です。あまり耳にしないかもしれませんが、実は患者さんは1,330万人(20歳以上の成人の8人に1人)いると考えられ、新たな国民病ともいわれています。
- 〈慢性腎臓病(CKD)の症状〉初期には自覚症状がほとんどありません。CKDは早期では治療で回復します。しかし腎臓は一度あるレベルまで悪くなってしまうと、自然に治ることはありません。放っておくと、どんどん進行して、透析療法や腎臓移植を行わなければいけなくなる可能性があります。そうなると、易疲労、全身倦怠感、顕著な浮腫(むくみ)などが出現します。
〈腎臓の働き〉腎臓には、私たちが生きていくために必要ないくつかの大切な役割があります。心臓と脳と同じくらい重要な臓器です。①体の中の老廃物を除去する②体の水分、塩分のバランスを一定に保つ③血圧をコントロールする④赤血球の造血を刺激するホルモンを出す⑤骨の健康を維持する - 〈CKDの原因〉主に糖尿病、高血圧、高尿酸血症、慢性糸球体腎炎(蛋白尿や血尿が長期間持続する病気)などが多いですが、加齢も大きな要因です。また、肥満や運動不足、喫煙、ストレス、脂質異常症などのメタボリックシンドロームもCKDの発症に大きく関与しているといわれています。その他には遺伝によるもの、薬剤によるものなどもあります。
- 〈CKDの重症度(ステージ)〉腎臓病の重症度は、糸球体ろ過量(GFR)、腎臓病を引き起こす原因となった病気(原疾患)、尿たんぱくの状態によって、判断されます。皆さま、健診やかかりつけでの血液検査で糸球体ろ過量(GFR)をチェックされていますか?一度自身の結果を確認してみましょう。
- 〈CKDの治療〉CKDの原因または進行の程度によって、内容は多少異なりますが、治療の目的は腎不全の進行を遅らせることにあります。したがって、具体的には原因疾患の治療(糖尿病であれば、血糖コントロールを良くする、慢性糸球体腎炎であれば、腎炎の治療を継続するなど)、生活指導(適度な運動・禁煙、定期的な受診、服薬)とともに食事療法(減塩・低蛋白食)や薬物療法(腎臓を保護し、尿蛋白を減らす効果のある降圧剤による血圧コントロール、むくみを改善するための利尿剤の使用など)が中心となります。
- 〈最後に〉皆さまは腎臓は尿を作る臓器、透析になると大変というイメージがあると思います。細かく説明するともっともっと重要な臓器です。最近、テレビや健診などでの啓蒙活動が行われていますが、まだまだ皆さまにとって身近なものではない印象です。お若い方や治療しているご病気のない方にはなおさらそのように感じます。今一度、腎臓に少し興味をもってみましょう。
2023.04.24