ブログ

  • HOME > 
  • ブログ > 
  • インクレチンホルモンをご存じですか?
2023.02.15

インクレチンホルモンをご存じですか?

  •  インクレチンとは栄養素摂取に伴って消化管から分泌され、主に膵臓のベータ細胞に作用してインスリン分泌を促進するホルモンの総称です。
  • インクレチンにはGLP-1とGIPの2つの種類があります。
  •  GLP-1はすでに糖尿病治療薬(自己注射や内服薬)に用いられています。最近ではダイエット治療として耳にしたことがある方も多いかもしれません。GLP-1は主に小腸下部から分泌され、膵ベータ細胞からのインスリン分泌を増加させ、膵アルファ細胞からのグルカゴン(血糖を上げるホルモン)分泌を抑制する方向に働きます。また、胃や中枢神経にも働き、胃から腸への食物の移動を遅らせる効果や、食欲を抑える効果もあります。つまりは体重減少や糖尿病の改善に大きな効果を有するわけです。
     一方、GIPも主に小腸上部から分泌され、膵ベータ細胞からのインスリン分泌を促進します。この作用はGLP-1の数倍強い作用を示すとも言われています。そして、近々、このホルモンの作用を有する自己注射薬剤が糖尿病治療に登場します。薬ばかりに頼ることは好ましくありませんが、血糖改善に悩んでいたり、なかなか体重減少が思い通りにいかない糖尿病患者さんにはとても期待できるもの思います。
  •  糖尿病は、神経や目や腎臓などにさまざまな障害を起こすことが知られています(3大合併症)。また、心臓病や脳卒中など、直接死亡リスクに関係する動脈硬化を引き起こします。糖尿病は自覚症状がなくても、見えないところで合併症が進行しています。そして、気がついた時には合併症のため、日常生活に支障があらわれているということが少なくありません。しかし、きちんと血糖値をコントロールできれば、合併症を予防できることがわかっています。そのためにも、しっかり治療(食事療法・運動療法・適切な薬物療法)を行い、きちんと血糖値を下げることが必要です。