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2023.08.15
健診などで中性脂肪が高い、あるいは低いと言われたら。
- 中性脂肪値が上昇する=健康によくなさそうだ、お腹が出てきそうだ、というイメージはあっても、そもそも中性脂肪にどんな性質があって、中性脂肪値が高いと体にどのような支障が生じるのかまでは、あまり知られていない印象です。実際に、「ところで中性脂肪ってなんなんですか?」と、皆様からよく質問を受けます。
- (中性脂肪とは?)
- 中性脂肪とは、名前の通り脂肪の一種で、健診などでは英語の「トリグリセライド」「トリグリセリド」と記載されていることも多いです。血糖値や悪玉(LDL)コレステロールなどの数値よりも比較的若い30-40歳台から健診で異常を指摘される方が多い印象です。特に社会人になってから体重増加が顕著な方や飲酒習慣のある方は要注意です。
- 中性脂肪とは、血液中の脂肪成分のことで体内に最も多く存在する脂肪成分であり、糖質の不足を補い、体を動かすための大切なエネルギー源のひとつです。食事から摂取した脂肪は、直接血液に溶けることはなく、小腸や肝臓で合成され全身を巡ります。また、エネルギーとして消費されなかった中性脂肪は、皮下脂肪となって体温を維持したり、内臓脂肪となって内臓を正常な位置に保って保護したりする役割を果たします。つまり、中性脂肪は「体内にエネルギーを貯蔵する」という大切な役割を担っています。しかし、エネルギーとして使われなかった中性脂肪が過剰となると、生活習慣病のリスクを高めることにつながります。
- (値が変動するのはなぜ?)
- 中性脂肪は、食事中の脂肪が腸で吸収され血液中にとり入れられたもの(外因性トリグリセライド)と、いったん肝臓に取り込まれた脂肪が、再び血液中に分泌されたもの(内因性トリグリセライド、主に超低比重リポ蛋白:VLDLとして存在する)の両者から構成されています。健診での血液検査は通常空腹時に行うので、後者を測ることになります。ここで注意が必要なのは健診での空腹時の中性脂肪値は正常範囲(150以下)であるものの、食後の中性脂肪値が高値の方です。中性脂肪は食後だんだんと高くなり、3~4時間後にもっとも上昇し、それから6時間ほどは高い状態が続きます。そのため、健診で100-150程度の数値だった方が、別の機会の血液検査では300-500ととても高い値を示すことは稀ではありません。食後の中性脂肪値が高いことも狭心症や心筋梗塞などの動脈硬化疾患に繋がることが分かっており、注意が必要です。
- (原因が生活習慣ではない場合も・・・)
- 脂質の多い食べ物やアルコールの過剰摂取以外にも、中性脂肪値が高い原因はあります。例えば、痩せているのに中性脂肪値が高い場合、食事から摂取した脂肪が血液中に留まりやすい体質であることも考えられます。「血液中に中性脂肪が多い」状態だと、血液はドロドロと考えられます。そうなると、身体の隅々まできちんと酸素や栄養が運ばれず、老廃物も溜まりやすく、健康面にも美容面にも影響が出てきます。また、ストレスも中性脂肪値に悪影響を与えるので、ストレスを溜めないように心がけることも大切です。
- 【血中の中性脂肪が高くなる原因】
- 原発性高脂血症:遺伝や生まれつきの異常によるもので、家族に多くみられます。
- 二次性高脂血症:食事(アルコール、糖分や脂質のとりすぎなど)によるものと、他の病気(内分泌の病気、糖尿病、肝臓病、ネフローゼ、貧血、骨髄腫など)によるものがあります。
- 原発性の生まれつきの異常
- 二次性の他の病気(肝臓病、甲状腺機能亢進症、アジソン病など)や、低栄養によるものがあります。
- (最後に)
- 中性脂肪が高くても自覚症状がほとんど現れません。また、食後の中性脂肪高値は通常の健診では見つかりにくいことに加え、治療せずにいると心筋梗塞や狭心症を発症しやすいことが分かっています。病気の早期発見・早期治療のためにも、肥満や生活習慣病を指摘されている方、家族歴に動脈硬化性疾患が目立つ方などは積極的に食後の中性脂肪も検査していただきたいと思います。