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2023.04.10

皆さま、ミトコンドリアをご存知ですか?

ミトコンドリアというワードを1度は聞いたことがあるのではないでしょうか?何だか難しい印象の言葉ですね。ミトコンドリアは、肝臓、腎臓、筋肉、脳など代謝の活発な細胞内に存在しており、細胞質の約40%を占めています。1つの細胞の中には300〜400個存在しており、体重の約10%を占めているとも言われています。また、細胞内で網状のネットワークを形成し、分裂・融合を繰り返し、ATP(アデノシン三リン酸)という細胞内活動に必須のエネルギーを産生するという重要な役割を担っています。それ以外にも、細胞内のカルシウムイオン濃度の調整や、脂質の酸化、免疫反応にも関係しており、人間が生きていく上で不可欠な細胞内小器官と言えるでしょう。

  • そして、ミトコンドリアは糖尿病、そして、糖尿病治療薬においてもとても重要な役割を果たしております。近年発売されたツイミーグ錠(2型糖尿病治療薬)は、ミトコンドリアの作用を介して、グルコース(血糖)濃度依存的にインスリン分泌を促す「膵作用」と肝臓、骨格筋での糖代謝を改善してインスリン抵抗性を改善する「膵外作用」という異なった2つの作用にて血糖降下作用を示します。
  •  最近、よく見聞きするアンチエイジング成分といわれているNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)もミトコンドリアと関連しています。NMNは食事やサプリで摂取すると、吸収されたのち、血液を通じて全身に運ばれ、細胞の中に取り込まれて「NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」という物質に変わります。NADは、細胞内のミトコンドリアにおけるエネルギー産生に欠かせない補酵素です。NADの量が増えることで、サーチュイン遺伝子(全身性のアンチエイジングを実現するために重要な遺伝子)は活性化し、働きの強まったサーチュイン遺伝子は、「ミトコンドリア」や「テロメア」を積極的に保護するようになります。サプリメントの効果はまだまだ未知ですが、医学の様々な発見や進歩(創薬)や展開力(販売など)には驚きます。内科医として、薬剤に頼らずに心身ともに若さを保ったり、生活習慣病の治療を提案していきたい気持ちはありますが、私自身が老化や衰えを実感すると、このような薬剤やサプリにも以前よりも興味が湧いてきました。