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2024.01.25
食後中性脂肪ってどのくらい気にする必要があるの?
- 皆様、健診では主に空腹時(当日飲食せずの条件)での血液検査が行われています。一方、通常の診療の際はその都度の採血(朝だったり、午後だったり様々)が行われます。肝機能やコレステロールなどの値はその日の条件であまり数値に影響はでませんが、中性脂肪値と血糖値は人によっては食事により、50~200,300以上の変動を示します。
- これまで食後高血糖は糖尿病予備群を示していたり、食後高血糖自体が動脈硬化に与える影響は示されていました。
- 食後の中性脂肪値は体に影響していることは間違いないものの、我々もどのくらい問題あるのか、どのくらい動脈硬化に影響するのかは皆様に明確には伝えることができていませんでした。
- (食後中性脂肪高値は動脈硬化に大いに影響します)
- 食後高脂血症では、この中性脂肪の分解がスムーズに進まず、レムナントという分解途中の中性脂肪のかたまりが血液中に長くとどまることになります。これが食後高脂血症の正体です。なおレムナントにはコレステロールも含まれています。レムナントが血液中に長くとどまると血管壁に入り込みやすく、その結果コレステロールがたまって動脈硬化を引き起こします。また、食後の中性脂肪値が高いほど、狭心症や心筋梗塞を引き起こす危険性が高まることもわかっています。
- (新たに食後中性脂肪に基準値が設定されました)
- 脂質異常症は治療せずにいると血管の内側に脂質がこびりついてしまい、動脈硬化を進行させる最大の原因です。日本人の死因の2割以上が心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患であることから、その予防を目指し、『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』(日本動脈硬化学会)において、脂質異常症の診断基準に新たに非空腹時(食後)の中性脂肪の基準値が設定されました(貼付表)。
- (おわりに)
- 食後高脂血症は、空腹時の中性脂肪値が高い人、肥満、メタボリックシンドロームや糖尿病の人などに起こりやすいことがわかっています。これらに該当している人、また健診で中性脂肪の値が上昇傾向にある人は、早期発見、早期治療のために、医療機関で食後の中性脂肪値を調べることをおすすめします。