健康診断は病気の早期発見に役立つよう厳しい基準によって判断されていることも多く、多くの場合には自覚症状がない段階で異常を指摘されます。健康な方は特に、結果の専門用語や数字の羅列が暗号のように感じられて、異常を指摘された場合には不安が募ると思います。
異常を指摘されて精密検査を受けたら病気ではないことがわかるケースもありますが、病気の早期発見につながって有効な生活習慣の改善や治療を行うことで重大な合併症を予防できることも少なくありません。また、グレーゾーンの場合も、適切な対応を行うことで将来の健康に大きく役立ちます。
当院では健康診断で異常や要精密検査を指摘された場合の再検査や精密検査、そして健康診断結果に不安がある方のためのご相談にも応じています。結果が気になる場合には、お気軽にご相談ください。
健康診断で引っかかりやすい項目
HbA1c、血糖値(糖尿病)
血糖値は血中のブドウ糖の濃度です。血糖値は食事や運動で大きく変動しますが、HbA1cは過去1~2カ月間の血糖値の平均がわかる検査です。血糖値やHbA1c値が基準値を超えている場合、糖尿病や糖尿病予備群である可能性が高くなります。健康診断では特定保健指導と同様により厳しい基準で判定するため、HbA1c値5.6%で要注意とされます。糖尿病は動脈硬化以外に深刻な合併症がたくさんありますので、異常を指摘されたら必ず受診してください。
コレステロール値(脂質異常症)
コレステロールには、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪があって、正常値はそれぞれ、LDL(悪玉)コレステロールは70~139mg/dL、HDL(善玉)コレステロールは40mg/dL以上、中性脂肪は150mg/dL以下となっています。脂質異常症は自覚症状なく動脈硬化を進行させ、血管の狭窄や閉塞を起こすリスクを上昇させるため、異常を指摘されたら早めに受診してください。
尿糖・尿タンパク・尿潜血
尿糖は、尿の中のブドウ糖の量で糖尿病の判定の指標として使われます。
尿タンパクは、慢性腎臓病が疑われます。
尿潜血は、腎臓・尿管・膀胱・尿道などの炎症や疾患の可能性があります。
陽性でも深刻な病気であるケースは多くないため過度な心配は無用ですが、必ず精密検査を受けてください。
尿酸値(高尿酸血症・痛風)
尿酸値が高い場合には、痛風を起こす可能性があり、動脈硬化の進行や腎障害、尿路結石などの発症リスクが上昇します。
血圧が高い(高血圧)
家庭血圧で135/85以上、診察血圧で140/90以上が続く場合に高血圧症と診断されます。動脈に大きな負担をかけ続けて動脈硬化を進行させ、脳出血の最大リスク要因とされています。
肝臓の数値(肝機能低下)
ビリルビン、AST(GOT)、ALT(GPT)、γGTP、ALPは肝臓の状態を知るための数値です。こうした数値が基準値を超えている場合、肝臓機能低下が疑われます。
貧血
鉄分不足だけでなく、消化管など体内で出血して貧血を起こしている可能性もあります。体内に出血がある場合、早急に適切な治療が必要ですから、できるだけ早く受診してください。
皆さまからいただく質問・悩み
- 健診の結果が返ってきたけど、ごちゃごちゃと色々と書いてあって何が悪くて何に気をつければ良いのかよく分からない・・・
- 経過観察と記載があるけれどどのくらいの期間、どのように経過を観察すればいいのですか?
- 再検査と記載があるけど、特にカラダの調子は悪くないのでこのままでいいでしょうか?困った時に受診でいいですか?
- 毎年健康診断を受けているので、健康状態に問題はないはず・・・
などなど
お気持ちは分かります。健康診断で定められた正常値や、そのコメントはさまざまです。そして、皆さまの年齢や治療中の病気の有無などもさまざまです。自身にとってはどう異常なのか、どのように注意して経過観察をしたらいいのかなどアドバイスさせて頂きます。ぜひご相談下さい。